VOB5(2008/02/15) 簿記の新しい可能性とビズソフト経理ナビ

|

コンピュータ簿記と会計

当初、会計へのコンピュータの利用は、莫大なコストを要し、中小企業には無縁のものであった。その後もコンピュータ会計といえば税理士事務所のオフコンの時代が続いたが、今や零細企業や個人事業者でさえ導入できるパソコンの低価格化の進行と使いやすい会計ソフトの登場でコンピュータ会計は、一気に身近なものとなり、中小企業の記帳コストの削減に大きな役割を果たしている。

しかし、現在のパソコン会計ソフトとその運用をみるならば、それはメインフレーム時代の思想から一歩も変わっていない時代遅れのものではないだろうか?文字通りコンピュータが、どこにでも有る「パソコン」となり、ネットワークが当たり前の時代にふさわしく中小企業の簿記・会計は変わったであろうか?メインフレームがパソコンのネットワークに取って代わったように、簿記会計は変わったであろうか?

現状では、中小企業でパソコン会計を導入したとしても手作業用より早い、転記ミスがないという「記帳コスト削減」という効果にとどまり、それだけの便益しか享受していない。これは手作業を「機械化」しただけであり、いわば高機能な電卓とタイプライターという利用である。

現在のコンピュータ会計のデータは、各種の入力インタフェース(帳簿形式や伝票形式)から入力されトランザクションとして登録されたデータベースであり、電子的な符号である。これには、「仕訳帳」とう概念も「元帳」という概念もない。会計ソフトは、「結果として」の複式簿記のアウトプットを踏襲しながらも、実際はソフトウエアの計算ロジックにより、紙のシステムと同様の結果をアウトプットの要求に応じて、その都度出力される。パソコン会計ソフトは、紙の時代のシステムを擬制したものであり、転記も行っておらず、貸借不一致という事態も起きようがないものであり、その正確性はもっぱらプログラムの計算ロジックの正確性に依拠している。市販ソフトでいうならばこれはブラックボックスであって、ユーザにはみえない。

複式簿記が誕生して5百年といわれ、いわば完成したシステムとして私たちの前にある。複式簿記を、「原初記録簿である仕訳日記帳に取引を複式記入し、これを元帳へ転記し、その結果から誘導的に財務諸表を作成するシステム」と定義し、ここに複式簿記の正確性検証機能を見いだすとするならば、コンピュータ簿記は、紙を前提としたシステムとは全く異なるシステムである。

 

新しいコンピュータ簿記の可能性とは

これまでのパソコン会計ソフトは、記帳コストの削減を目的として設計され紙を前提とした簿記システムを擬制したものである。しかし、現在のコンピュータ簿記では、入力されたデータは、一定の規則に従ったデータベース構造のデジタル符号であり、もやはここには、仕訳帳や総勘定元帳という概念はない。コンピュータ簿記は、紙を前提としたシステムとは全く異なるものなのであるり、ここに着目すれば簿記は全く新しい可能性を持つ。

では、簿記が「コンピュータ簿記」となることによってもたらされる新しい可能性とは何であろうか?

可能性1

第一にコンピュータ簿記は、紙を前提としないため、従来の簿記の仕訳データに多数の属性情報を付加することが可能となる。さらに従来の簿記では「取引」概念に含まれないものまでトランザクションとするデータベースの設計が可能となる。

そもそも複式簿記は最小の記帳で誘導的に財務諸表を作成すること、検証が可能であることがすぐれた特性としてあげることができるシステムであり、すべての取引を「日付」「借方科目」「貸方科目」「金額」の必要最低限の構成要素とする「仕訳」というデータ形式で記録する。したがって、経営にとって重要な情報であっても見積もりや引き合い等の情報は記録の対象ではない。また、売掛債権を例にすれば、その発生日は債権成立の日として記録するが、その回収予定日等の様々な「属性」情報はシステムの必須項目ではない。しかし、コンピュータ簿記では「属性」が増えること、複式簿記では「仕訳」に該当しないトランザクション(見積もりデータ等)を対象として記録範囲を拡大しても作業量の増加につながらない。

このことにより、簿記は期間損益計算目的だけでなく複数の出口を持つことが可能となる。これらの集積したデータの中から複式簿記システムに必要なトランザクションだけを選んで、仕訳形式で書き出すことが可能である。

可能性2

第二にコンピュータの利用により、一つのインプットデータから複数のトランザクションの自動生成が可能となる。

売掛金発生(請求)データには、必ず回収予定期日が存在し、この回収予定トランザクションは請求データに「予定期日」という属性を付加することにより、回収予定日のトランザクションを自動的に生成することが可能となる。この予定トランザクションは、期日が到来して実現すれば確認作業のみで入力は不要となる。

可能性3

第三に、データの構造の共有によるデータ互換である。

このデータ互換という点では従来の「社内」標準ではなく共通形式によるXBRL等の標準化の方向が始まっている。標準化は、情報が流通するための不可欠な条件であり、どれがスタンダードとなるかの違いでしかない。

これにより、自社の販売データ(請求)は、そのまま取引先の仕入データとしての転用が可能である。

これらがコンピュータを前提とした、これからの時代の簿記「未来簿記」の可能性である。

 

未来簿記と経理ナビ

簿記の自動化へ

未来簿記の一つの特徴は自動化である。企業は日々の経理業務をパソコンで行い、作業の結果を電子データ残すことになる。このデータの中から財務諸表作成に必要なデータを掬いだし、加工すればよい。もちろん、この加工は自動化できる。

複式簿記の構成要素は「日付」「借方科目」「貸方科目」「金額」である。コンピュータ簿記は、これを1レコードとする構造であり、日常の経理業務の結果をこの構造で取り込めば財表的簿記の大半はデータ作成の必要がない。

「経理ナビ」は、この機能の多くを実現している。経理ナビで作成した請求書のデータ、支払管理のデータ、作成した給与明細書のデータは、仕訳データとして書き出すことができる。

 

新たな可能性 対象の拡大(取引概念の変更)

しかし、自動化だけでは、早く便利になっただけであり、「大転換」ではない。コンピュータ簿記がもたらす可能性はもっと根本的なものである。

私たちの考える「未来簿記」は、企業活動で生成した貨幣単位で表現されるトランザクションをすべて対象とする。「取引」概念の拡大である。従来の簿記は、財産の管理を目的とし、財産状態の増減に関するデータだけを「取引」としてきた。しかし、未来簿記では債権として確定していない見積・受注などの経済活動も対象とする。これにより、引き合い、見積もり、請求、回収という一連の活動を連続的に管理することが可能となる。

「経理ナビ」の収支予定表は、一つのセルに複数の情報を登録することが可能であり、従来の簿記で対象となる売掛金発生データと、対象とならない「見込み」等のデータを一つのアプリケーションデータの中に混在して管理することができる。

 

新たな可能性 時間軸(属性)の追加

複式簿記のデータは「日付」「借方科目」「貸方科目」「金額」で1セットである。これ以外にも人名勘定である「補助科目」、消費税集計に必要な「税属性」など属性情報が付加される。複式簿記でいう「日付」は取引発生日(会計上の起票日)である。

日常の経理業務(請求事務)の中では請求書を発行すれば、同時に回収予定日も管理する。実際の取引では一つのデータに複数の「日付」情報が付加してのである。「回収予定日」や「支払日」等である。ところがこれらは財表的簿記では不要な属性である。

これら従来の簿記にとって不要な属性もこれを捨てる必要はない。従来の簿記で不要な属性であっても経営管理には有用(必須)であり、様々な属性情報も同様である。

属性情報のうち特に資金決済日に関する属性情報は企業の資金計画(資金会計)にとって重要な情報である。

 

新たな可能性 予定トランザクションの自動生成

簿記がコンピュータ簿記となることによりもたらされる特性の最も注目すべきは「トランザクション自動生成」の可能性である。

請求書の発行(債権の発生)という事実から、売掛金の回収(債権の消滅)という将来の事実を予測できる。

売掛金の発生は複式簿記では(借方)売掛金/(貸方)売上として表現され、回収は(借方)預金/(貸方)売掛金として表現される。取引として2個である。現実には第1の取引(トランザクション)を登録した時点で第2の取引(回収)も予定トランザクションとして登録することが可能であり、これはコンピュータプログラムで自動的に生成することができる。

ところが、複式簿記の概念では、これからら生起する予定を取引(トランザクション)として記帳することはあり得ないことである。

しかし、コンピュータ簿記では、この生成に必要な情報を第1のトランザクションに属性として付加することは、可能であり、何も問題がない。

この属性(回収予定日情報等)を付加することにより、第2の取引のトランザクションを自動的に生成し「予定」という属性を付加しておくことが可能となる。

これこそ未来簿記の大きな可能性と言えないだろうか。

 

ビズソフト経理ナビの可能性

経理ナビは請求書の発行、仕入代金の支払の管理、給与明細書の発行という「経理ソフト」であり、これらの日常業務を行えば、「収支予定表」という資金繰り計算書が作成され、ここで作業した結果は会計ソフトの「仕訳」データとした書き出すことができる。

未来簿記の可能性が、ビズソフトの「経理ナビ」として我々の前に提示され、現実のものとなった。

このブログ記事について

このページは、管理者が2008年2月10日 13:38に書いたブログ記事です。

次のブログ記事は「VOB3(2008/02/15) 平均の使い方を誤っていませんか?」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.01a