VOB10 (2008/02/29) 「扶養控除等申告書」の電子化に関する試案

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この文書はJESAP(電子署名・認証利用パートナーシップ)が主催した「電子署名・認証フォーラム」(平成16年2月24日、工学院大学)の電子政府セッションで発表した原稿です。

下記の活動報告を参照してください。
ECOM(電子取引推進協議会)平成15年度事業報告書
http://www.ecom.jp/about/jigyou/houkoku_2003.pdf
財団法人 日本情報処理開発協会 事業報告書
http://www.jipdec.or.jp/ov/disc/h15/hokoku.pdf

 

「扶養控除等申告書」の電子化に関する試案

税理士 阿部隆幸
税理士 齋藤聰明 

電子化・オンライン化は、それ自体が目的ではなく企業、国民の負担軽減、行政の効率化がその目的である。しかし、基本法だけではカバーしきれず、仮に電子化・オンライン化が可能であったとしても基本法がカバーする方式では、企業・国民の負担が軽減されない手続きは多数存在するものと思われる。
本稿は、その一例として「扶養控除等申告書」について検討を試みる。この手続は毎年5 千万件であり、これが電子化されれば企業の負担を大幅に減らすことが可能となる。この電子化のためには電子署名・タイムスタンプ・電子文書の長期保存などのPKI 関連の技術は不可欠である。
 
1.扶養養控除等申告書とは
扶養控除等申告書とは、サラリーマン(給与所得者)が所得税法194条の規定により、給与支払者に提出する書面である。この手続は毎年5千万件である。平成15年、情報通信技術利用法(行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律)が施行され、国民から行政への申請、届出等がオンラインで行うことが可能となった。しかし、同法は民間を経由する申請、届出には適用されない。所得税法では、扶養控除等申告書は、給与の支払を受ける者が、給与支払者を経由して税務署長に提出するものと規定しており、この手続きもこれに該当する。
e-Japan構想の中で、民間取引(B to B、B to C)や行政への申請・届出(B to G)について、電子化を図るべく、次のような立法措置がなされてきた。
①IT書面一括法(平成13年4月施行) 民間取引で書面交付を義務付けていることが電子取引の阻害要因にあたるとして関連する法律55本を一括して改正。
②商法改正(平成13年) 会社運営の電子化について改正が行われ、この中で会社関係書類の電磁的記録による作成、保存が認められた。
③情報通信技術利用法(平成15年1月施行、一部未施行) 従来、書面が前提であった、行政機関への届出、申請が原則すべてオンラインによることが可能となった。

2.基本法方式が採用された行政手続きの電子化
従来書面を前提とした手続きを電子化するにあたっては、立法措置が必要となる。この立法化にあたって、民間取引については、個別法令を一括して改正する方式(一括法方式)が採られた。一方行政手続きについては、個別法を改正せず、個別法を特別法によって「読み替える」基本法方式が採られた。情報通信技術利用法がそれである。
この法律によって、既存の法律で「書面」を意味する言葉は「電子文書」「電磁的記録」に置き換えられ、「署名」や「記名」を意味する言葉は「電子署名」に置き換えられることとなった。

3. 基本法方式の課題
行政手続きは、その数があまりにも膨大であり、個別法の改正では、到底、時代の趨勢に法律改正が追いつかず、基本法方式が採られたことは、やむを得ないものと思われる。また基本法方式が採られたことから、申請者側の認証局は、ブリッジ認証局と相互認証した認証局証明書が前提とされた。これが民間経由手続きについては、情報通信技術利用法の適用対象外となった要因と考えられる。
しかし、従来の書面を前提とした手続きは、多種多様であり、それぞれ求められる認証レベルによって「記名」もあれば「自署」もある。また「押印」が求められるものも「実印」が要求されるもの、特に印鑑の種類について規定しないものがある。
行政手続きの電子化・オンライン化の為の立法措置として基本方法方式を採る限り認証レベルは「高いほう」に合わせざるを得ない。しかし、既存の法律を改正せず「認印」で間に合う手続きを一律に公的個人認証証明書、商業登記認証局の証明書等とすることは、かえって電子化・オンライン化の阻害要因ともなる。
電子化・オンライン化は、それ自体が目的ではなく企業、国民の負担軽減、行政の効率化がその目的である。しかし、基本法だけではカバーしきれず、仮に電子化・オンライン化が可能であったとしても基本法がカバーする方式では、企業・国民の負担が軽減されない手続きは多数存在するものと思われる。
本稿は、その一例として「扶養控除等申告書」について検討を試みる。この手続は毎年5千万件であり、これが電子化されれば企業の負担を大幅に減らすことが可能となる。この電子化のためには電子署名・タイムスタンプ・電子文書の長期保存などのPKI関連の技術は不可欠である。

4. 「扶養控除等申告書」の電子化のための課題
「扶養控除等申告書」の電子化のためには、法的な側面、それを可能とする技術的な側面と両面からの検討が必要である。
これまで、書面を前提としてきたものは、電子化・オンライン化の中で、必要性がなくなるもの、その役割は変わらないが、電子化、オンライン化にふさわしく制度のあり方が変わってゆくもの、また、そのまま電子化・オンライン化が可能なものがある。したがって、扶養控除等申告書(以下、単に「申告書」という)の電子化の可能性の検討は、申告書が、法的にどのように位置づけられ、どのような役割を担っているかを検討することから始めなければならない。

5. 所得税法は「扶養控除等申告書」をどう規定するか
5-1申告書の記載事項
扶養控除等申告書は、サラリーマン(給与所得者)が所得税法194条の規定により、給与支払者に提出する。この主な記載事項は、次のとおりである。
一 申告書作成者の氏名、住所
二 給与支払者の氏名又は名称
三 給与の支払を受けるものが所得税法上の諸控除を受けるために必要な配偶者又は扶養親族に関する事項、本人若しくは扶養親族が障害者等に該当する場合は、その事実。
これらの事項は給与支払者が給与の支払をするにあたり、源泉徴収税額を計算するために必要な事項である。さらに詳細に言えば、給与支払時に必要な事項と年末調整事務にのみ必要な事項がある。

5-2 記名・押印
扶養控除等申告書は、記名欄があり、押印する欄が2箇所ある。一つは書類作成者(給与の支払を受けるもの)であり、もう一つは給与支払者の受付印である。
国税通則法には税務に関する届出書等の記名・押印に関する定めがあり、この押印は、この規定によるものである。同法は押印すべき印鑑についての定めはなく、通常は認印が使用されている。

5-3保管
所得税法は「経由すべき給与等の支払者に受理されたときは、…税務署長に提出されたものとみなす。」と規定しており、実務上は給与支払者が保管しなければならない。
また、所得税法基本通達は「申告書は、その支払者が保管するものとし、必要がある場合には税務署長に提出させるものとする」としており、給与支払者が保管している。

5-4提出時期
所得税法の規定により、申告書は、毎年最初の給与の支払を受ける日の前日までに提出する必要があり、提出の際に経由すべき給与等の支払者に受理されたときは、その申告書は、その受理された日に税務署長に提出されたものとみなされる。
なお、申告事項に異動があった場合も異動事項を記載して異動が生じた後、最初の給与の支払を受ける前日までに申告書を提出しなければならない。


6. 情報通信技術利用法では電子化・オンライン化できない
情報通信技術利用法は手続のうち書面を意味する用語が存在する手続についてオンライン化を可能とするものであり、オンライン化の範囲は主務省令によって定められる。
同法は「行政機関等は、申請等のうち当該申請等に関する他の法令の規定により書面等により行うこととしているものについては、当該法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、電子情報処理組織(行政機関等の使用に係る電子計算機と申請等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用して行わせることができる。」と規定しており、この規定から、民間を経由する申請・届出等に適用されないとされている。
扶養控除等申告書の作成者は給与の支払いを受ける者でありその提出先は税務署長であるが、「経由」手続きであるため行政通信技術利用法のオンライン化対象手続とはならない。また、実務上は税務署長に提出されることなく、その保管は給与支払者(企業)である。したがって現状では「紙」を企業が保管せざるを得ないといことになる。扶養控除等申告書の電子的な保管のためには、何らかの立法措置が必要になるものと思われる。

7. 電子化・オンライン化へのアプローチ
電子化・オンライン化の方法を探るアプローチは、まず、その制度自体がどのような意味があり、どのような役割を果たしているのかの分析から始めなければならない。
具体的には、押印にどのような役割があるのか、その書面はどのくらいの保存に耐えなければならないのか、どの程度の改ざん防止措置が必要かなどの検討である。
次にこれらで明らかとなった事項を電子的に実現する技術面からの検討が必要となる。ここで重要なことは、必要以上の条件を課すことによって、利便性が損なわれてはならない。もうひとつは、必ず書面手続との並存期間があるということである。同一の手続を書面で行うかオンラインで行うかによって、「書面」「電子・オンライン」の特性の相違から派生する以外の差異があってはならない。
また、費用負担という点でも、オンライン化、電子化は、安価に実現できなければ意味がない。
7-1何がオンライン化、電子化のために求められるか
以上のような視点から、扶養控除等申告書の電子化のために求められる機能の要件を検討してみる。
認証レベル
給与支払者、行政庁からみて、文書の名義人(給与受給者)が作成したものであることが確認可能であること。
給与支払者が収受した事実(この情報によって源泉徴収事務が行われる)。
作成後、改変が、なされていないことが確認できること。
情報が更新される可能性があるため、その変更履歴が残ること。その変更は作成者が行ったものであることが確認できること。
否認防止措置
この文書の記載事項は、氏名、住所、生年月日などの事実を記載するものであって、他人が確認することが比較的容易であり、意思確認という意味での否認防止措置は重要ではない。
情報流出防止
この申告書に記載されている事項は個人情報であり、目的外使用や閲覧、他への情報流出は許されない。高度な防止措置が求められる。
保存期間
法律の規定では、給与受給者が給与支払者を経由して税務署長に提出することとなっているが、実務上は、給与支払者が「保管」しており、明確な保存義務期間は法定されていない。
しかし、税法が規定する行政処分の除斥期間から、7年の保存に耐えなければならない。
費用
作成者の費用負担はゼロであるか、きわめて安価でなければならない。
給与支払者にとって、源泉徴収事務にかかるコストが書面より安価であるか、利便性が向上するものでなければならない。
7-2電子化の意義、優位性
扶養控除等申告書の電子化、オンライン化にはPKIの技術が不可欠である。これまでは、電子化するための要件について記述してきたが、以後は電子化にPKIが使われることによるメリット、優位性について検討する。

8. 「扶養控除等申告書」と年末調整制度の廃止論
8-1 年末調整制度の廃止論
年末調整制度は、昭和22年の申告納税制度導入と同時に採用され、シャウプ勧告(昭和24年)では、給与所得に係る源泉徴収制度について、従業員に対する源泉徴収税額の通知や雇用主による源泉徴収税額の即時納付、年末調整による調整額を最小限度に止めるべきことなどのほか、年末調整手続を税務署に可能な限り移管すべきことが提案されている(シャウプ使節団日本税制報告書Ⅳ巻D11頁)
最近の税制調査会や経済財政諮問会議においても、納税者としての意識の醸成の観点から、年末調整制度の廃止も言及されている(税制調査会中期答申『わが国税制の現状と課題―21世紀に向けた国民の参加と選択―(平成12月7月)』141、142頁)。

8-2 年末調整制度の完全廃止の非現実性
現状 民間企業において保存・税額計算基礎データとしての「扶養控除等申告書」が毎年5千万件あり、年末調整制度の廃止と同時に、確定申告書を提出する納税者数が一挙に増加した場合、如何なることにあるだろうか?
課税庁の収受・整理といった単純な事務負担もさることながら、記載内容に係る審査等の必要な事務を考慮すると、書面の確定申告手続を前提に、現在の課税庁の執行体制では、やはり年末調整制度の完全廃止は非現実的であるといわざるをえない。
16年2月2日 名古屋国税局管内でスタートしたe-Taxシステムが、その非現実性を薄めたとしても、書面申告の併用が依然避けられない以上、完全な年末調整制度の廃止の断行は不可能である。
個人住民税の特別徴収制度も考慮した場合、給与支払時の源泉徴収制度そのものは維持したうえで、年末調整制度の廃止を論ずるのが現実的である
したがって、年末調整制度の廃止論を前提としたとしても、「扶養控除等申告書」の電子化のため検討は、その必要性は失わないと思われる。

9. 「扶養控除等申告書」と個人情報保護
9-1 「扶養控除等申告書」の取り扱い
申告書の記載事項における「申告書作成者の氏名、住所・給与支払者の氏名又は名称」もさることながら、所得税法上の諸控除を受けるため「必要な配偶者又は扶養親族に関する事項、本人若しくは扶養親族が障害者等」の情報の取り扱いには、特別細心の配慮が必要である。
「扶養控除等申告書」の裏面に 記載上の注意が下記のようにある。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「障害者等の内容」欄には、それぞれ次の事項を記載してください。
イ障害者(特別障害者)……障害の状態又は交付を受けている手帳などの種類と交付年月日、障害の程度(障害の等級など)。また、控除対象配偶者や扶養親族が障害者(特別障害者)のときは、併せてその人の氏名(特別障害者に該当する人のときは同居の有無)
ロ老年者……平成16年中の所得の見積額
ハ寡婦又は寡夫……死別、離婚の別とその年月日、夫又は妻のいずれかが生死不明となった事由、生計を一にする子の氏名及びその子の平成16年中の所得の見積額、2の「  寡婦」のロに掲げる寡婦、「  特別の寡婦」又は「  寡夫」に該当する人については、これらのほか平成16年中の所得の見積額
ニ勤労学生……学校名と入学年月日及び平成16年中の所得の種類とその見積額
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自らの所得税法上の諸控除を受けるためやもうえないとしても、申告者に障害者の扶養家族があり、障害の程度がどの程度で、離婚暦の有無など、通常の企業活動では本来知りえないものであり、その知りえた情報の取り扱いなど極めて悩ましい問題である。
日常の給与支払時に必要な情報・年末調整事務に必要な情報という税務目的のものとはいえ、その情報の取り扱いに関しては、税務目的達成の範囲を超えた「情報管理」の仕組みが不可欠である。しかし、現状その取り扱いは、その情報の重要性に見合ったと取り扱いがされているか、再度検討すべきであろう。

9-2 「扶養控除等申告書」の電子化と情報流出防止
 プライバシーの領域まで網羅する「扶養控除等申告書」は、企業の情報の中でも特に注意して取り扱わなけばならない。個人情報への不正アクセス、紛失、破壊、改ざん、漏洩防止を目的とした仕組みが不可欠である
 例えば
 1-勤務期間内外を問わない目的外利用の禁止
 2-利用は、権限のあるのみとし、指揮命令者の指示に従う
 4-利用したアクセスログが蓄積され、ログが改ざんされないこと
 5-保安上安全な場所に保管する
 3-保管・廃棄は、規則・指揮命令者の指示に従う
 4-受け渡し時、非漏洩の仕組みを構築

電子化に求められる要件は、前段の発表で下記のようにまとめられた
 1-認証レベル・・・・・文書の名義人の確認可能性(一義的に 給与支給者にとって)
            変更履歴の確認と変更者の確認
 2-否認防止措置・・・・意思確認という意味での否認防止措置は重要ではない
 3-情報流失防止措置・・目的外使用や閲覧・情報流出防止の高度な防止措置が求められる。
 4-保存期間の担保・・・税法が規定する行政処分の除斥期間から、7年の保存
 5-負担費用の考慮・・・作成者の費用負担はゼロであるか、きわめて安価
10-「扶養控除等申告書」の電子化には、自前PKIが不可欠である
電子化に求められる要件での認証レベル/情報流失防止を考察するとPKI技術は不可欠であり、負担費用を考慮すると自前PKIと市販の汎用性のあるPKI対応のアプリケーションを選択するのが最善ではなかろうか。

10-1 自前PKIの構築
 認証局構築のアプリケーションとて、次を使用する。 「CertWorker」という電子証明書の発行から運用までを簡単に行えるユーティリティのパッケージソフトである。
http://www.ace.comp.nec.co.jp/certworker/ この「CertWorker」で認証局を構築し、その過程でのCP及びCPSの学習を通し「運用者」側としての体験をし、そこで発行されたPKIに準拠した電子証明書をもとに、S/MIME・アクロバット文書やドキュワーク文書に代表される標準的電磁的文書へ電子署名・暗号及び検証・復号を実践する。
 簡易版とはいえそのプロセスは正式の認証局と同じであり、やはり自前PKIのために、自前のCP及びCPSの作成は困難と思われるが、規模・用途・使用範囲が限定されたもので、専門家によりそのフォーマットの標準化されればクリアーできるであろう。
今後社内業務の電子化を考慮すると、総務課などの社内担当部署は、単なる利用者以上のPKI知識が求められることを考慮すると、電子化の全社的実践前にPKI学習の最善のトレーニング環境を提供することにもなる。
 また、全社のシステム・人員配置の関係で、自前認証局の選択が不可能としても、実験的認証局の立ち上げ・運用の中 実体験で身に付けた知識は、今後ベンダーに対し良きユーザーとしての知識の蓄積ができ、資源調達の際のリスクも回避できると期待される。

10-2 CertWorker証明書の発行---CertWorker証明書リクエスタcertreq.exe
CertWorkerでは、自前認証局に利用者の秘密鍵が残らない形式で証明書の発行が可能である。手順は下記のとおりである
① 自前認証局は「鍵生成用ディスク」を作成し、利用者へ手渡しまたは送付します
② 利用者は「証明書リクエスタ」を実行して鍵ペアを生成し、証明書要求(PKCS#10)を作成、自前認証局へ返送
③ 自前認証局は証明書要求から証明書(PKCS#7)を発行し、手渡す。

利用者はフロッピーディスク等の外部記憶媒体に含まれている「証明書リクエスタ(certreq.exe)」を実行し、証明書と秘密鍵をWindowsシステムストアにインポートするか、PKCS#12ファイルにエクスポートすることができます。
操作が完了した時点で、キープしていた秘密鍵情報がクリアされ、再度鍵ペアの生成を行えるようになります。

10-3 専門士業の果たす役割
 現状、税理士は税務のみならず、経営・法務・ITとあらゆる分野で中小企業をサポートしている。この延長線上に平成16年2月2日にスタートしたe-TAXをとらえるならば、e-TAXに欠くことのできないPKIに関する相当程度の説明責務も期待されているものと認識しなければならない。
関与先企業が自前認証局構築の際、認印程度とはいえ、税理士が積極的にその構築に関与し、登録・発行・失効事務など一連の認証局業務に関わるということは、今後のPKI普及にとって極めて有効である。

10-4 専門士業と技術者との連携
 専門士業の税理士は、税の専門家ではあるが、ITの専門家でも・PKIの専門家でもない。とはいえ、電子申告の税理士にとって、関与先の企業がITソリューションへ新規投資をする際、確かなセカンドオピニオン役を務める知識・ネットワークは不可欠であるといえる。
 自前認証局が構築されたとして、署名を可能せしめるアプリケーションは、選択に困るほど市販されてはいないと思われる。
アドビ社のアクロバット6、ゼロックス社のドキュワークス5、これらも電子署名・検証の作業も比較的平易に行うことができ、同アプリケーションを組織的・積極的に日常業務に取り入れることによって、企業内のペーパーレスは促進される。
 また、別に一つの方向性として、個別のPCにインストールする署名アプリケーションではなく、ブラウザーのプラグインとして作動する「WebSign」をWebサーバーに.インストールすることによって、最小限の準備で全社のPCが電子署名・検証の環境を整備することも考えられる。 
また、PKI普及黎明期にあって「WebSign」の優れている点は、作業として簡単に電子署名・検証が可能であるということのみならず、署名・検証の作業のなか、電子署名の重要性・意味合いの理解を促するチュートリアルが繰り返し表示されるように作りこまれている点である。
 税理士がITの専門家になるのでも・PKIの専門家になろうというのではなく、関与先の企業がITソリューションへ新規投資をする際、一部のベンダーのソリューションに偏ることなく、信頼されるセカンドオピニオン役を務める知識・ネットワークを自在活用するためにも、当該専門技術者との日常的な情報交換は今後さらに重要となるであろう。


 

このブログ記事について

このページは、管理者が2008年3月 4日 18:45に書いたブログ記事です。

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