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この文書はJESAP(電子署名・認証利用パートナーシップ)が主催した「電子署名・認証フォーラム」(平成15年9月25日、工学院大学)の電子申請とビジネス支援セッションで発表した原稿です。

下記の活動報告を参照してください。
ECOM(電子取引推進協議会)平成15年度事業報告書
http://www.ecom.jp/about/jigyou/houkoku_2003.pdf

財団法人 日本情報処理開発協会 事業報告書
http://www.jipdec.or.jp/ov/disc/h15/hokoku.pdf


「国税電子申告・納税システム(e-Tax)と
税理士事務所認証局 その技術的・法的考察」

阿部 隆幸(関東信越税理士会)
齋藤 聰明(東京税理士会 理事)
(2003年9月)


1 はじめに
平成15年7月14日「国税関係法令に係る行政手続等における情報通信の技術の利用に関する省令」(以下 財務省令)が公布された。平成14年12月13日に成立した「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」(以下、「情報通信技術利用法」と略)に続く、国税電子申告・納税システム(以下e-TAX)・税務手続の電子化のための法的根拠の最終段階である。
e-TAXのために個々の税法の改正は行われておらず、「情報通信技術利用法」によってe-TAXが実施される。個々の税務手続の電子化については、同法第3条により財務省令に委任された。それが、この財務省令ということになる。この省令によって95の国税関係手続が電子化されることになった。
現状電子政府にあって、要求される署名環境はあくまで否認防止のみを目的としたものである。つまり、公開鍵の用途はX509v3証明書フィールドである鍵種別(KeyUsage)に記述されるのは、以下のみということとなる。

鍵使用目的拡張の項目 設定Onが必須なもの
電子署名の検証 digitalSignature
否認防止のための電子署名の検証 nonRepudiation

日本税理士会連合会認証局から、e-TAXのために用意される税理士ICカードに格納されている署名環境もまた否認防止のみを目的とするものである。
またe-TAXの仕組みとして、税理士と国税庁受付システム・納税者と国税庁受付システムの間はSSLという仕組みで安全に申告データの交信されるように構築されている。しかし、税理士と納税者の間ではe-TAXの仕組みとして現状なんらセキュリティの確保がなされていない。従前の代理を介した手続き上の利便・安心を基礎に、利用者・国民が本当に安心してIT・電子政府の利便性を享受するために、専門士業のなすべきことは単に監督官庁の電子申請仕様を会員向けに解説することではなく、真に国民をも含めた利用者の立場に立脚した利便性・安全性の検討ではなかろうか。
仮説として、税理士が日本税理士会連合会認証局より使用目的が電子申告などに限定した電子署名環境以外に、下位1位までのユーザーへの電子証明書が発行可能な電子署名環境を提供がされたとして、それを信頼の根拠として税理士事務所が「税理士事務所認証局」を構築する。その状態で、認証局構築・電子証明書の発行・実際の使用・電子署名の検証可能性などを、技術的・法務的見地から検討を行いたい。
e-TAX及び他の電子申請がトリガーとなり、国民が初めて遭遇する電子署名・オンライン手続で「ああ便利なものだな」と感じ、その他の行政手続・民間の文書・社内へも電子化を波及せしめるためにも、民間にあって代理を業とする専門士業は「PKI普及伝道師」としての知識とスキルを身に着けることが喫緊の課題である。
繰り返すが、単に行政手続の電子化に関する行政情報の解説に終始することなく、真に国民・利用者のための電子政府実現に向けて提言・行動しなければならない。

2 e-TAXの根拠法令概観
電子政府構想の中では、例外なくすべての行政手続が電子化される。e-TAXは、その一部にすぎない。行政手続の電子化(オンライン化)のために、平成14年12月オンライン三法と呼ばれる次の法律が成立し公布された。
①行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(情報通信技術利用法と略、オンライン基本法とも呼ぶ)
②行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(整備法と略)
③電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律(公的個人認証法と略)
e-TAXを実施するためには、本来個別の法改正が必要と思われるが、個々の税法の改正は行わずいわば基本法として①のオンライン基本法が制定された。

2-1情報通信技術利用法(オンライン基本法)
この法律は、行政手続電子化の基本法としての性格をもち、その概要を一言で言えば「紙から電子へ」と「ハンコから電子署名へ」というキーワードに要約される。
2-1-1 紙から電子へ
同法第3条1項は「行政機関等は、申請等のうち当該申請等に関する他の法令の規定により書面等により行うこととしているものについては、当該法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、電子情報処理組織(行政機関等の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と申請等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用して行わせることができる。」と規定している。
この規定により、個々の税法で、書面により提出することされていた(当然のこととしてそれ以外のものは前提していなかった)申告書や届出書が、インターネット等の通信回線で送信されることが可能となった。しかし、通信回線で紙を送付することは不可能、従ってパソコンで作成された申告書や届出書の内容(情報)のみが送信されることになる。この情報は、一定の約束事に従った電子符号(デジタルデータ)ということになる。

2-1-2 ハンコから電子署名へ
同法第3条4項は「行政機関等は、当該申請等に関する他の法令の規定により署名等をすることとしているものについては、当該法令の規定にかかわらず、氏名又は名称を明らかにする措置であって主務省令で定めるものをもって当該署名等に代えさせることができる。 」と規定している。
e-TAXではパソコンで作成した電子符号(デジタルデータ)そのものをインターネットで送信するのであるから、従前の署名も押印もできない。そこで申告書などの作成者について何らかの「氏名又は名称を明らかにする措置」が必要となる。

2-1-3 従前の署名・押印にいかなる意味があったのだろうか
普段何気なく行っている署名や押印であるが、どのような意味を持っていたのか、改めて検証してみる必要がありそうだ。従前、税務申告書の情報・課税標準・税額等は、紙という媒体に記入されていた。その同じ媒体(紙)に申告者や、税理士が自署、押印してきた。これは従来からのいわば慣習で、その書面に記載された内容(情報)をそれぞれが自認していることが当たり前のことと受け止められてきた。また、たとえ何らかの理由で本人が意図しない書き換え(改ざん)がなされても、訂正印のないものは、本人が意図した内容の書き換えでないということも、いわば世間の常識ともいえた。
従来からの書面での申告は、紙という媒体に記入された内容(情報)と、その同一の媒体になされた署名や押印によって、これまでは実にうまく機能してきたといえる。   
民間取引の契約にあっても同じであった。もちろん、重要な取引では認印(三文判)でなく、実印が要求されてきたであろうが、認印であっても民事訴訟法228条の「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」という真正成立の推定がはたらく。
e-TAX等の電子手続では電子符号を送信するのであるから、従前の署名や押印は不可能であるとしても、署名や押印がはたしてきた機能・役割を、これらと同等な機能をもった措置がなされることが不可欠となる。「情報通信技術利用法」第3条4項でいう「氏名又は名称を明らかにする措置」とは、電子署名のことをいうのである。

2-2財務省令
平成15年7月14日「国税関係法令に係る行政手続等における情報通信の技術の利用に関する省令」が公布された。この財務省令は、情報通信技術利用法3条の委任を受けて、「電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用して行わせることができる」95の国税手続き定めた。また、同じく同法3条4項の委任により「氏名又は名称を明らかにする措置」を具体的に定めた。この財務省令は平成15年11月4日から施行される。
2-2-1 氏名又は名称を明らかにする措置(電子署名と電子証明書)
省令6条では署名等に代わる措置は「申請等の情報に電子署名を行い、当該電子署名に係る電子証明を当該申請等と併せて送信することをいう」と具体的に規定している。この場合の電子署名とは電子署名法に定める電子署名のことをいう。
2-2-2 電子証明書の範囲
省令では国税関係の電子手続に使用できる証明書については、次の三つを定めている。
イ 商業登記法に基づき登記官が作成したもの
ロ 電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律第三条第一項に基づき都道府県知事が作成したもの
ハ イ及びロに掲げるもののほか、これらと同様の機能を有する電磁的記録として国税庁長官が定めるもの
イは、いわゆる商業登記認証局の証明書であり法人に限られる。ロは、公的個人認証制度により都道府県知事が発行するものである。ハは、まだ具体的に指定されていないが、日本税理士会連合会認証局などの民間認証局が発行する証明書ということになる。
2-2-3 e-TAXで求められる「電子署名」
e-TAX制度が導入されるとしても、税法の署名・押印関係の規定は何ら改正されていない。従来どおりであり、署名・押印が電子署名に代わっただけである。
国税関係の電子化のための省令でも、次の税法の署名・押印が電子署名に代わることを明記しています。
一 国税通則法 第百二十四条     
二 法人税法第 百五十一条第一項~第三項まで
三 税理士法 第三十条、第三十三条第一項及び第二項並に第三十三条の二第三項

2-3税法の署名や押印に関する規定
e-TAXでも従来の規定に改定は無く、システムは法律どおりの仕様で作られるとすれば紙の場合より、運用が厳格に成らざるを得ない。あらためて「記名」なのか「自署」なのか、検証しておく必要がある。
2-3-1 押印に関する規定は国税通則法で規定
「国税についての基本的な事項及び共通的な事項を定める」国税通則法では、第124条で税務申告書等についての氏名住所の記載、押印について規定し、自署の規定はない。
 押印すべきものが外国人の場合、「外国人ノ署名捺印及無資力証明ニ関スル法律」により、押印を要せず、この場合は署名をもって捺印に代えるとある。
2-3-2 法人税法と法人事業税は代表者の自署・押印の規定がある
所得税法や消費税法に規定は無い、法人税・法人事業税の申告書については、法人代表者が自署押印しなければならないことになっている。(法人税法151条、地方税法72の35)
2-3-3 税理士の署名・押印が必要/依頼者の署名・押印も必要 税理士法
税理士法33条により、税理士が税務代理として租税に関する書類を作成し、官公署に提出する場合は当該申告書等に署名押印しなければならず、なお、税理士が署名・押印する場合は、税理士である旨を付記する必要がある。
税理士法33条により、当該申告書等が課税標準に関するもの、または、還付金の請求に関するものである場合は、併せて本人(依頼者)も署名押印することが求められる。
税理士が税務代理として提出する書類は、すべて税理士の自署・押印が必要になり、法人税・法人事業税は、個別法の規定で代表者の自署・押印の必要があり、その他の申告書は税理士法の規定により、依頼者も自署・押印が求められる。届出書等課税標準に関係しない書類は、税理士は自署・押印、依頼者は記名・押印ということになる。

2-4 税務署書面で署名・押印はいかなる機能を果たしたのか
2-4-1 税法上の規定
民事訴訟法228条には「私文書は、本人またはその代理人の署名押印があるときは、真性に成立したものと推定する」という規定があるが、税法にはこのような通則的な規定はない。
署名・押印のもつ機能は次の三つではなかろうか。
 
1文書に記載された名義人の本人性の確認(印鑑やサインの筆跡など後日、必要なら検証ができる) 申告書に記載された氏名と申告者の一致。

2 本人の意思確認  申告書の内容を本人が自認していることの確認

3 改ざん、否認防止 署名・押印後に他人によって書き換えが行わないようにするため

電子署名によれば、これらの機能が実現可能であり、改ざん防止などは紙の場合よりもより厳格に検出できると思われる。
国税通則法、法人税法、地方税法、税理士法いずれも特に印鑑の種類についての規定は無く、税法の解説書などには次のように書かれている。
国税通則法精解」(大蔵財務協会)では、国税通則法124条により押印すべき印鑑については「個人の場合 書類届出者の印/法人の場合 当該法人の代表者の印 」と説明され、「コンメンタール法人税法」(第一法規)では、法人税法151条で規定する法人代表者の自己の印について「自署した者の印章である。この場合、印鑑登録のある印章であることは要しないが、その者の印章であると一般に識別できるものでなければならい」と説明されている。

2-4-2 e-TAXにおける「印鑑」
e-TAX実施に当たって、納税者・代理としての税理士もともに、何らかの手段で電子署名を行える環境を、自らの責任で整備しなくてはならない。
税理士は、15年11月初旬 日本税理士会認証局から 電子署名を行える環境を取得されることなるが、納税者(法人も含む)に関しては 前述の3種の認証局から、電子署名を行える環境を取得することになる。
e-TAXの際は「書面申告において納税者及び税理士の記名(署名)・押印が必要とされているのと同様、両者の電子署名及び電子証明書の添付が必要」(e-TAXホームページ)とあるが,前述のように押印の際の印鑑の規定はなく、自署及び押印の有無 は、申告書等の提出による申告の効力に影響を及ぼさないとしている。
 電子署名を要する「e-TAX」が実施されたとして、e-TAXと書面申告が並行実施された場合、不都合が発生しないか?
現状の法の趣旨のまま施行・電子署名法を適用となると、e-TAXの場合は実印と印鑑証明書を強要され、その上それが欠落した場合、その申請の効力さえ失う。対して書面申告は、認印・記名がであっても、またその欠落の場合でもその「当該書類の効力に影響を及ぼすものと解」されない。
 個別法の改正が無いまま実施されたとする、手続上の均衡を欠き、すすんでe-TAXを行う者は少ないであろう。現実的運用と然るべき法整備の必要が無かろうか?また、e-TAXを含む電子政府が予定する印鑑は、その鍵使用目的拡張から否認防止のための署名以外に使用できず、認証・暗号化のためには別途その環境を入手しなければならないことを留意しなければならない。

 

3-日税連認証局・認証ポリシーの多様化と税理士事務所認証局

3-1 税理士事務所認証局の狙い
仮に 税理士が日本税理士会連合会認証局より、使用目的がe-TAXなどに限定した電子署名環境以外に、下位1位までのユーザーへの電子証明書が発行可能な電子署名環境を提供できるとして、それを根拠に税理士事務所は 「税理士認証局」を構築する。
その状態がe-TAXおいて技術的・法務的見地から可能性かあるか否かの検討は、今後PKIが広く普及させる上で有益と考える。俗に言う三文判PKIの検証である。
3-1-1 現状は認印
現状 認印・記名(署名ではなく)で実施さている税務手続きレベルにあった合目的的「電子署名」
言わば 電子認印の可能性を見出せないか?
財務省令2条2項ハが規定する「これらと同様の機能を有する電磁的記録として国税庁長官が定めるもの」の解釈に、GPKIと相互認証していない認証局選択の可能性は本当にないか?
3-1-2 財務省令における電子署名は、電子署名法第2条1項のみを根拠としている
財務省令2条1項に置いて、求められる電子署名は 電子署名法第2条1項のみを根拠としているところから、電子署名において下記の機能が実現可能であれが、e-TAXにおいて最低限レベルと解釈・許容できないか?
電子署名及び認証業務に関する法律 第二条 
この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。 
一  当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。 
二  当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。 
つまり、e-TAXにおいて使用可能レベルを下記のレベル以上とし


1-電子署名を行った者の本人性を確認することができるものであること
2-改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること

この条件を満たす電子署名であれば使用可能とされるよう、電子的行政手続においても複数の認証ポリシーを使用可能ならしめる施策・運用こそ電子署名法が求めるものであり、PKI普及の早道ではなかろうか。
3-1-3 e-TAXでのセキュリティは税理士にかかっている
e-TAXの仕組みとして、税理士と国税庁受付システムの間では、SSLという仕組みで安全に申告データの交信されるように構築されている。しかし、税理士と納税者の間では、現状なんらセキュリティの確保がなされていない。税理士と国税庁受付システムの間・納税者と国税庁受付システムの間で高水準のセキュリティの確保をしようとも、総体として「電子申告システム」は、現状安全なシステムとは言えない。 
税理士と納税者間の申告データの交信をS/MIMなどでセキュリティの確保をして、やっと総体としてのセキュリティが確保できるのである。税理士と納税者間の申告データの交信のセキュリティの確保の責務は、税理士にあると認識するのが自然である。
交信のセキュリティが確保できなければ、税理士がノートPC持参して電子署名を求たり、電子署名のために顧問先を事務所に来所していただくことなる。これは本末転倒・時代錯誤である。
3-1-4 税理士事務所認証局が可能になられば、税理士は「PKI普及伝道師」となる
e-TAXがトリガーとなって、国民・利用者が初めて遭遇する電子署名・オンライン手続で「ああ便利なものだな」と感じ、その他の行政手続、民間の文書、社内へも電子化が波及しなければ費用対効果は薄れる。そのためには、身近にPKIの先生が必要である。
現状、税理士は税務のみならず、経営・法務・ITとあらゆる分野で中小企業をサポートしている。この延長線上にe-TAXをとらえるならば、e-TAXに欠くことのできないPKIに関する相当程度の説明責務も期待されているものと認識しなければならない。
そこで、税理士が認印程度とはいえ自ら「税理士事務所認証局」を構築し、登録・発行・失効事務など一連の認証局業務に関わるということは、今後「PKI普及伝道師」としての活躍が税理士に期待できる。民間レベルでのこのような活動は、今後のPKI普及にとって極めて有効である。

3-2 税理士事務所認証局 信頼モデルの選択
選択する上での基準は、
①「できるだけ信頼性が高いパターンから」
②「より簡便な方法」
の2つである。
モデル:1
日税連認証局タイプB証明書→税理士事務所認証局→エンドエンティ証明書 
このパターンであればCRL検証も可能/特定認定不要/秘匿用も使える
モデル:2
単位税理士会→税理士事務所認証局→エンドエンティ証明書
これもモデル:1と同様。CRLのサーバー証明書程度は必要。特定認定不要、秘匿用も使える
モデル:3
税理士事務所→ このスタイルは簡便であるが、認証ポリシなどのスキルが相当程度要求される。この場合でも日税連がタイプC(サーバー証明)を発行することによって、いくつかの可能性がでてくる
バリエーション 
各事務所が登録発行を行いCRLリポジトリの共同化

3-3「CertWorker」を使って税理士事務所認証局

かかる試みを単なる机上論に終わらせること無く、技術的・法務的可能性を検証したい。
認証局構築のアプリケーションとて、次を使用する。
「CertWorker」という電子証明書の発行から運用までを簡単に行えるユーティリティのパッケージソフトである。
http://www.ace.comp.nec.co.jp/certworker/
この「CertWorker」で認証局を構築し、その過程でのCP及びCPSの学習を通し「運用者」側としての体験をし、そこで発行されたPKIに準拠した電子証明書をもとに、S/MIME・アクロバット文書やドキュワークス文書に代表される標準的電磁的文書へ電子署名・暗号及び検証・復号を実践し、最終的にはe-TAXにおいて顧問先に使ってもらおうというのが狙いでる。
簡易版とはいえそのプロセスは正式の認証局と同じであること、多くの税理士がその立ち上げ・運用の中 実体験で身に付けた知識は、今後ベンダーに対し良きユーザーとしての知識の蓄積ができ、資源調達の際のリスクも回避できると期待できる。
この一連の体験者を数多く輩出することは、失敗が許されない国家施策として「e-JAPAN」・「e-TAX」に、税理士として大きな貢献が出来る一助となるものと確信している。

この文書はJESAP(電子署名・認証利用パートナーシップ)が主催した「電子署名・認証フォーラム」(平成16年2月24日、工学院大学)の電子政府セッションで発表した原稿です。

下記の活動報告を参照してください。
ECOM(電子取引推進協議会)平成15年度事業報告書
http://www.ecom.jp/about/jigyou/houkoku_2003.pdf
財団法人 日本情報処理開発協会 事業報告書
http://www.jipdec.or.jp/ov/disc/h15/hokoku.pdf

 

「扶養控除等申告書」の電子化に関する試案

税理士 阿部隆幸
税理士 齋藤聰明 

電子化・オンライン化は、それ自体が目的ではなく企業、国民の負担軽減、行政の効率化がその目的である。しかし、基本法だけではカバーしきれず、仮に電子化・オンライン化が可能であったとしても基本法がカバーする方式では、企業・国民の負担が軽減されない手続きは多数存在するものと思われる。
本稿は、その一例として「扶養控除等申告書」について検討を試みる。この手続は毎年5 千万件であり、これが電子化されれば企業の負担を大幅に減らすことが可能となる。この電子化のためには電子署名・タイムスタンプ・電子文書の長期保存などのPKI 関連の技術は不可欠である。
 
1.扶養養控除等申告書とは
扶養控除等申告書とは、サラリーマン(給与所得者)が所得税法194条の規定により、給与支払者に提出する書面である。この手続は毎年5千万件である。平成15年、情報通信技術利用法(行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律)が施行され、国民から行政への申請、届出等がオンラインで行うことが可能となった。しかし、同法は民間を経由する申請、届出には適用されない。所得税法では、扶養控除等申告書は、給与の支払を受ける者が、給与支払者を経由して税務署長に提出するものと規定しており、この手続きもこれに該当する。
e-Japan構想の中で、民間取引(B to B、B to C)や行政への申請・届出(B to G)について、電子化を図るべく、次のような立法措置がなされてきた。
①IT書面一括法(平成13年4月施行) 民間取引で書面交付を義務付けていることが電子取引の阻害要因にあたるとして関連する法律55本を一括して改正。
②商法改正(平成13年) 会社運営の電子化について改正が行われ、この中で会社関係書類の電磁的記録による作成、保存が認められた。
③情報通信技術利用法(平成15年1月施行、一部未施行) 従来、書面が前提であった、行政機関への届出、申請が原則すべてオンラインによることが可能となった。

2.基本法方式が採用された行政手続きの電子化
従来書面を前提とした手続きを電子化するにあたっては、立法措置が必要となる。この立法化にあたって、民間取引については、個別法令を一括して改正する方式(一括法方式)が採られた。一方行政手続きについては、個別法を改正せず、個別法を特別法によって「読み替える」基本法方式が採られた。情報通信技術利用法がそれである。
この法律によって、既存の法律で「書面」を意味する言葉は「電子文書」「電磁的記録」に置き換えられ、「署名」や「記名」を意味する言葉は「電子署名」に置き換えられることとなった。

3. 基本法方式の課題
行政手続きは、その数があまりにも膨大であり、個別法の改正では、到底、時代の趨勢に法律改正が追いつかず、基本法方式が採られたことは、やむを得ないものと思われる。また基本法方式が採られたことから、申請者側の認証局は、ブリッジ認証局と相互認証した認証局証明書が前提とされた。これが民間経由手続きについては、情報通信技術利用法の適用対象外となった要因と考えられる。
しかし、従来の書面を前提とした手続きは、多種多様であり、それぞれ求められる認証レベルによって「記名」もあれば「自署」もある。また「押印」が求められるものも「実印」が要求されるもの、特に印鑑の種類について規定しないものがある。
行政手続きの電子化・オンライン化の為の立法措置として基本方法方式を採る限り認証レベルは「高いほう」に合わせざるを得ない。しかし、既存の法律を改正せず「認印」で間に合う手続きを一律に公的個人認証証明書、商業登記認証局の証明書等とすることは、かえって電子化・オンライン化の阻害要因ともなる。
電子化・オンライン化は、それ自体が目的ではなく企業、国民の負担軽減、行政の効率化がその目的である。しかし、基本法だけではカバーしきれず、仮に電子化・オンライン化が可能であったとしても基本法がカバーする方式では、企業・国民の負担が軽減されない手続きは多数存在するものと思われる。
本稿は、その一例として「扶養控除等申告書」について検討を試みる。この手続は毎年5千万件であり、これが電子化されれば企業の負担を大幅に減らすことが可能となる。この電子化のためには電子署名・タイムスタンプ・電子文書の長期保存などのPKI関連の技術は不可欠である。

4. 「扶養控除等申告書」の電子化のための課題
「扶養控除等申告書」の電子化のためには、法的な側面、それを可能とする技術的な側面と両面からの検討が必要である。
これまで、書面を前提としてきたものは、電子化・オンライン化の中で、必要性がなくなるもの、その役割は変わらないが、電子化、オンライン化にふさわしく制度のあり方が変わってゆくもの、また、そのまま電子化・オンライン化が可能なものがある。したがって、扶養控除等申告書(以下、単に「申告書」という)の電子化の可能性の検討は、申告書が、法的にどのように位置づけられ、どのような役割を担っているかを検討することから始めなければならない。

5. 所得税法は「扶養控除等申告書」をどう規定するか
5-1申告書の記載事項
扶養控除等申告書は、サラリーマン(給与所得者)が所得税法194条の規定により、給与支払者に提出する。この主な記載事項は、次のとおりである。
一 申告書作成者の氏名、住所
二 給与支払者の氏名又は名称
三 給与の支払を受けるものが所得税法上の諸控除を受けるために必要な配偶者又は扶養親族に関する事項、本人若しくは扶養親族が障害者等に該当する場合は、その事実。
これらの事項は給与支払者が給与の支払をするにあたり、源泉徴収税額を計算するために必要な事項である。さらに詳細に言えば、給与支払時に必要な事項と年末調整事務にのみ必要な事項がある。

5-2 記名・押印
扶養控除等申告書は、記名欄があり、押印する欄が2箇所ある。一つは書類作成者(給与の支払を受けるもの)であり、もう一つは給与支払者の受付印である。
国税通則法には税務に関する届出書等の記名・押印に関する定めがあり、この押印は、この規定によるものである。同法は押印すべき印鑑についての定めはなく、通常は認印が使用されている。

5-3保管
所得税法は「経由すべき給与等の支払者に受理されたときは、…税務署長に提出されたものとみなす。」と規定しており、実務上は給与支払者が保管しなければならない。
また、所得税法基本通達は「申告書は、その支払者が保管するものとし、必要がある場合には税務署長に提出させるものとする」としており、給与支払者が保管している。

5-4提出時期
所得税法の規定により、申告書は、毎年最初の給与の支払を受ける日の前日までに提出する必要があり、提出の際に経由すべき給与等の支払者に受理されたときは、その申告書は、その受理された日に税務署長に提出されたものとみなされる。
なお、申告事項に異動があった場合も異動事項を記載して異動が生じた後、最初の給与の支払を受ける前日までに申告書を提出しなければならない。


6. 情報通信技術利用法では電子化・オンライン化できない
情報通信技術利用法は手続のうち書面を意味する用語が存在する手続についてオンライン化を可能とするものであり、オンライン化の範囲は主務省令によって定められる。
同法は「行政機関等は、申請等のうち当該申請等に関する他の法令の規定により書面等により行うこととしているものについては、当該法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、電子情報処理組織(行政機関等の使用に係る電子計算機と申請等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用して行わせることができる。」と規定しており、この規定から、民間を経由する申請・届出等に適用されないとされている。
扶養控除等申告書の作成者は給与の支払いを受ける者でありその提出先は税務署長であるが、「経由」手続きであるため行政通信技術利用法のオンライン化対象手続とはならない。また、実務上は税務署長に提出されることなく、その保管は給与支払者(企業)である。したがって現状では「紙」を企業が保管せざるを得ないといことになる。扶養控除等申告書の電子的な保管のためには、何らかの立法措置が必要になるものと思われる。

7. 電子化・オンライン化へのアプローチ
電子化・オンライン化の方法を探るアプローチは、まず、その制度自体がどのような意味があり、どのような役割を果たしているのかの分析から始めなければならない。
具体的には、押印にどのような役割があるのか、その書面はどのくらいの保存に耐えなければならないのか、どの程度の改ざん防止措置が必要かなどの検討である。
次にこれらで明らかとなった事項を電子的に実現する技術面からの検討が必要となる。ここで重要なことは、必要以上の条件を課すことによって、利便性が損なわれてはならない。もうひとつは、必ず書面手続との並存期間があるということである。同一の手続を書面で行うかオンラインで行うかによって、「書面」「電子・オンライン」の特性の相違から派生する以外の差異があってはならない。
また、費用負担という点でも、オンライン化、電子化は、安価に実現できなければ意味がない。
7-1何がオンライン化、電子化のために求められるか
以上のような視点から、扶養控除等申告書の電子化のために求められる機能の要件を検討してみる。
認証レベル
給与支払者、行政庁からみて、文書の名義人(給与受給者)が作成したものであることが確認可能であること。
給与支払者が収受した事実(この情報によって源泉徴収事務が行われる)。
作成後、改変が、なされていないことが確認できること。
情報が更新される可能性があるため、その変更履歴が残ること。その変更は作成者が行ったものであることが確認できること。
否認防止措置
この文書の記載事項は、氏名、住所、生年月日などの事実を記載するものであって、他人が確認することが比較的容易であり、意思確認という意味での否認防止措置は重要ではない。
情報流出防止
この申告書に記載されている事項は個人情報であり、目的外使用や閲覧、他への情報流出は許されない。高度な防止措置が求められる。
保存期間
法律の規定では、給与受給者が給与支払者を経由して税務署長に提出することとなっているが、実務上は、給与支払者が「保管」しており、明確な保存義務期間は法定されていない。
しかし、税法が規定する行政処分の除斥期間から、7年の保存に耐えなければならない。
費用
作成者の費用負担はゼロであるか、きわめて安価でなければならない。
給与支払者にとって、源泉徴収事務にかかるコストが書面より安価であるか、利便性が向上するものでなければならない。
7-2電子化の意義、優位性
扶養控除等申告書の電子化、オンライン化にはPKIの技術が不可欠である。これまでは、電子化するための要件について記述してきたが、以後は電子化にPKIが使われることによるメリット、優位性について検討する。

8. 「扶養控除等申告書」と年末調整制度の廃止論
8-1 年末調整制度の廃止論
年末調整制度は、昭和22年の申告納税制度導入と同時に採用され、シャウプ勧告(昭和24年)では、給与所得に係る源泉徴収制度について、従業員に対する源泉徴収税額の通知や雇用主による源泉徴収税額の即時納付、年末調整による調整額を最小限度に止めるべきことなどのほか、年末調整手続を税務署に可能な限り移管すべきことが提案されている(シャウプ使節団日本税制報告書Ⅳ巻D11頁)
最近の税制調査会や経済財政諮問会議においても、納税者としての意識の醸成の観点から、年末調整制度の廃止も言及されている(税制調査会中期答申『わが国税制の現状と課題―21世紀に向けた国民の参加と選択―(平成12月7月)』141、142頁)。

8-2 年末調整制度の完全廃止の非現実性
現状 民間企業において保存・税額計算基礎データとしての「扶養控除等申告書」が毎年5千万件あり、年末調整制度の廃止と同時に、確定申告書を提出する納税者数が一挙に増加した場合、如何なることにあるだろうか?
課税庁の収受・整理といった単純な事務負担もさることながら、記載内容に係る審査等の必要な事務を考慮すると、書面の確定申告手続を前提に、現在の課税庁の執行体制では、やはり年末調整制度の完全廃止は非現実的であるといわざるをえない。
16年2月2日 名古屋国税局管内でスタートしたe-Taxシステムが、その非現実性を薄めたとしても、書面申告の併用が依然避けられない以上、完全な年末調整制度の廃止の断行は不可能である。
個人住民税の特別徴収制度も考慮した場合、給与支払時の源泉徴収制度そのものは維持したうえで、年末調整制度の廃止を論ずるのが現実的である
したがって、年末調整制度の廃止論を前提としたとしても、「扶養控除等申告書」の電子化のため検討は、その必要性は失わないと思われる。

9. 「扶養控除等申告書」と個人情報保護
9-1 「扶養控除等申告書」の取り扱い
申告書の記載事項における「申告書作成者の氏名、住所・給与支払者の氏名又は名称」もさることながら、所得税法上の諸控除を受けるため「必要な配偶者又は扶養親族に関する事項、本人若しくは扶養親族が障害者等」の情報の取り扱いには、特別細心の配慮が必要である。
「扶養控除等申告書」の裏面に 記載上の注意が下記のようにある。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「障害者等の内容」欄には、それぞれ次の事項を記載してください。
イ障害者(特別障害者)……障害の状態又は交付を受けている手帳などの種類と交付年月日、障害の程度(障害の等級など)。また、控除対象配偶者や扶養親族が障害者(特別障害者)のときは、併せてその人の氏名(特別障害者に該当する人のときは同居の有無)
ロ老年者……平成16年中の所得の見積額
ハ寡婦又は寡夫……死別、離婚の別とその年月日、夫又は妻のいずれかが生死不明となった事由、生計を一にする子の氏名及びその子の平成16年中の所得の見積額、2の「  寡婦」のロに掲げる寡婦、「  特別の寡婦」又は「  寡夫」に該当する人については、これらのほか平成16年中の所得の見積額
ニ勤労学生……学校名と入学年月日及び平成16年中の所得の種類とその見積額
--------------------------------------------------------------------------------
自らの所得税法上の諸控除を受けるためやもうえないとしても、申告者に障害者の扶養家族があり、障害の程度がどの程度で、離婚暦の有無など、通常の企業活動では本来知りえないものであり、その知りえた情報の取り扱いなど極めて悩ましい問題である。
日常の給与支払時に必要な情報・年末調整事務に必要な情報という税務目的のものとはいえ、その情報の取り扱いに関しては、税務目的達成の範囲を超えた「情報管理」の仕組みが不可欠である。しかし、現状その取り扱いは、その情報の重要性に見合ったと取り扱いがされているか、再度検討すべきであろう。

9-2 「扶養控除等申告書」の電子化と情報流出防止
 プライバシーの領域まで網羅する「扶養控除等申告書」は、企業の情報の中でも特に注意して取り扱わなけばならない。個人情報への不正アクセス、紛失、破壊、改ざん、漏洩防止を目的とした仕組みが不可欠である
 例えば
 1-勤務期間内外を問わない目的外利用の禁止
 2-利用は、権限のあるのみとし、指揮命令者の指示に従う
 4-利用したアクセスログが蓄積され、ログが改ざんされないこと
 5-保安上安全な場所に保管する
 3-保管・廃棄は、規則・指揮命令者の指示に従う
 4-受け渡し時、非漏洩の仕組みを構築

電子化に求められる要件は、前段の発表で下記のようにまとめられた
 1-認証レベル・・・・・文書の名義人の確認可能性(一義的に 給与支給者にとって)
            変更履歴の確認と変更者の確認
 2-否認防止措置・・・・意思確認という意味での否認防止措置は重要ではない
 3-情報流失防止措置・・目的外使用や閲覧・情報流出防止の高度な防止措置が求められる。
 4-保存期間の担保・・・税法が規定する行政処分の除斥期間から、7年の保存
 5-負担費用の考慮・・・作成者の費用負担はゼロであるか、きわめて安価
10-「扶養控除等申告書」の電子化には、自前PKIが不可欠である
電子化に求められる要件での認証レベル/情報流失防止を考察するとPKI技術は不可欠であり、負担費用を考慮すると自前PKIと市販の汎用性のあるPKI対応のアプリケーションを選択するのが最善ではなかろうか。

10-1 自前PKIの構築
 認証局構築のアプリケーションとて、次を使用する。 「CertWorker」という電子証明書の発行から運用までを簡単に行えるユーティリティのパッケージソフトである。
http://www.ace.comp.nec.co.jp/certworker/ この「CertWorker」で認証局を構築し、その過程でのCP及びCPSの学習を通し「運用者」側としての体験をし、そこで発行されたPKIに準拠した電子証明書をもとに、S/MIME・アクロバット文書やドキュワーク文書に代表される標準的電磁的文書へ電子署名・暗号及び検証・復号を実践する。
 簡易版とはいえそのプロセスは正式の認証局と同じであり、やはり自前PKIのために、自前のCP及びCPSの作成は困難と思われるが、規模・用途・使用範囲が限定されたもので、専門家によりそのフォーマットの標準化されればクリアーできるであろう。
今後社内業務の電子化を考慮すると、総務課などの社内担当部署は、単なる利用者以上のPKI知識が求められることを考慮すると、電子化の全社的実践前にPKI学習の最善のトレーニング環境を提供することにもなる。
 また、全社のシステム・人員配置の関係で、自前認証局の選択が不可能としても、実験的認証局の立ち上げ・運用の中 実体験で身に付けた知識は、今後ベンダーに対し良きユーザーとしての知識の蓄積ができ、資源調達の際のリスクも回避できると期待される。

10-2 CertWorker証明書の発行---CertWorker証明書リクエスタcertreq.exe
CertWorkerでは、自前認証局に利用者の秘密鍵が残らない形式で証明書の発行が可能である。手順は下記のとおりである
① 自前認証局は「鍵生成用ディスク」を作成し、利用者へ手渡しまたは送付します
② 利用者は「証明書リクエスタ」を実行して鍵ペアを生成し、証明書要求(PKCS#10)を作成、自前認証局へ返送
③ 自前認証局は証明書要求から証明書(PKCS#7)を発行し、手渡す。

利用者はフロッピーディスク等の外部記憶媒体に含まれている「証明書リクエスタ(certreq.exe)」を実行し、証明書と秘密鍵をWindowsシステムストアにインポートするか、PKCS#12ファイルにエクスポートすることができます。
操作が完了した時点で、キープしていた秘密鍵情報がクリアされ、再度鍵ペアの生成を行えるようになります。

10-3 専門士業の果たす役割
 現状、税理士は税務のみならず、経営・法務・ITとあらゆる分野で中小企業をサポートしている。この延長線上に平成16年2月2日にスタートしたe-TAXをとらえるならば、e-TAXに欠くことのできないPKIに関する相当程度の説明責務も期待されているものと認識しなければならない。
関与先企業が自前認証局構築の際、認印程度とはいえ、税理士が積極的にその構築に関与し、登録・発行・失効事務など一連の認証局業務に関わるということは、今後のPKI普及にとって極めて有効である。

10-4 専門士業と技術者との連携
 専門士業の税理士は、税の専門家ではあるが、ITの専門家でも・PKIの専門家でもない。とはいえ、電子申告の税理士にとって、関与先の企業がITソリューションへ新規投資をする際、確かなセカンドオピニオン役を務める知識・ネットワークは不可欠であるといえる。
 自前認証局が構築されたとして、署名を可能せしめるアプリケーションは、選択に困るほど市販されてはいないと思われる。
アドビ社のアクロバット6、ゼロックス社のドキュワークス5、これらも電子署名・検証の作業も比較的平易に行うことができ、同アプリケーションを組織的・積極的に日常業務に取り入れることによって、企業内のペーパーレスは促進される。
 また、別に一つの方向性として、個別のPCにインストールする署名アプリケーションではなく、ブラウザーのプラグインとして作動する「WebSign」をWebサーバーに.インストールすることによって、最小限の準備で全社のPCが電子署名・検証の環境を整備することも考えられる。 
また、PKI普及黎明期にあって「WebSign」の優れている点は、作業として簡単に電子署名・検証が可能であるということのみならず、署名・検証の作業のなか、電子署名の重要性・意味合いの理解を促するチュートリアルが繰り返し表示されるように作りこまれている点である。
 税理士がITの専門家になるのでも・PKIの専門家になろうというのではなく、関与先の企業がITソリューションへ新規投資をする際、一部のベンダーのソリューションに偏ることなく、信頼されるセカンドオピニオン役を務める知識・ネットワークを自在活用するためにも、当該専門技術者との日常的な情報交換は今後さらに重要となるであろう。


 

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電子申告は日本を救う! (齋藤聰明投稿、「東京税理士会葛飾支部60周年記念誌」)


1-日本税理士会連合会認証局の存在意義

いまさら「何言うか!」と叱られるかもしれないが、日税連も東京会を含め多くの単位会が、電子申告の所掌を「情報システム委員会」に担当させたところに最初の「ボタンの掛け間違」があったのだと考えます。 真っ当に考えれば、電子申告は「制度部」の所掌でしょうし、制度部の目で電子申告を検証すべきだったと考えます。しかし、電子申告はパソコンを不可欠とし・パソコンの操作と関連するから

と情報システムの所掌になってしまったです。
電子申告はまさに制度の話です。 法律の話なのです。書面ベースで税理士制度・行政手続きを検討してきたしかるべき所掌が責任を持って担当すべきものであると考えます。
  遅き感もありますが、電子申告はパソコン・プロトコル等の話ではなく、制度の問題として深く検討すべき時期なのです
「税理士が、電子申告に際し、(公的個人認証サービス)による電子署名をしても、日税連認証局による電子署名をしても、その法的効力に相違がないのだとしたら、日税連認証局の設立運営に莫大な資金を投下するのは無駄である。」という意見があります。

確かに「公的個人認証による電子署名と日税連認証による電子署名の法律上の効果」を考察する
と一面そのような帰結に至るのも理解できなくも無い。
  税理士法33条3項は「税理士は、前二項の規定により署名押印するときは、税理士である旨その他財務省令で定める事項を付記しなければならない。」としている。資格証明の問題です。
ところが、電子署名法施行規則第6条八項は「電子証明書に利用者の役職名、その他の利用者の属性(利用者の氏名、住所及び生年月日を除く。)を記録する場合においては、利用者その他の者が当該属性についての証明を認定認証業務に係るものであると誤認することを防止するための適切な措置を講じていること。」と規定する。
ややまわりくどい言い方であるが属性証明(資格など)は、認証局の発行する証明書の正式な項目でないということである。 電子申告においても税理士がその資格を明示して行うことは当然のことである。しかし、この点では、現行規定は十分ではない。我々が検討して解決すべき課題なのです。  電子署名法における電子証明書では、「税理士」という属性を電磁的に表現できないのです。 電子証明書が暗黙に属性や権限を表現する手段として、日税連認証局の構築となったわけです。 つまり、当該認証局が被認証者範囲を限定し(CPSによって)、結果として属性・権限を表現できるのです。 そこに日本税理士会連合会認証局の存在意義があるのです。

2-納税者の電子署名省略に疑問
ここ1~2年は喫緊の課題でとして電子申告普及の数値目標が話題になっている。
東京税理士会も電子申告推進10の提言(2006年3月第590号)を一年前に出し、 提言のほとんどが現実化しており、半年以内に改善・改正案が提案されております。 電子申告に関して、国税庁は納税者の声・関係各位の改善提案を傾聴し、極めて迅速に課題が解決されいるようです。
平成18年6月日本税理士会連合会からも、レベル0~レベル5までのCMM(capability maturity model)みたいな能力成熟度モデルが提案され、レベル0の電子証明書を入手していない状態からレベル5の顧問先の電子申告を行なっているレベルまで、 平成22年までにレベル5で50%達成が数値目標と提言された。 
平成19年度税制改正の大綱(平成18年12月19日)が発表され、この中で電子申請のインセンティブとして「税額の控除」や「添付書類の省略」などが明記された。電子申告の活用推進を図るねらいが見受けられる。
電子申告普及に向けて、次のような斬新な施策が注目される。1.電子署名の省略 2.電子申告の税額控 3.第三者作成書類の添付省略 4.税務関連書類の電子化 5.電子申告等証明制度の創設、どれをとっても今までの国税局では考えられない切り口である。
 ただ、ある意味玉石混合というか、本当に納税者の利便性・実効性のある電子政府実現へ向けた施策と単に電子申告の数を増やすためのやや誤った施策が混在しているように感じられるのです。
その「やや誤った施策」とは 1の電子署名の省略のことである。
 政府が公開鍵基盤(PKI)を機軸とした電子政府を選択した以上、私を含めた多くの税理士が現在如何なる業務フローを実施しているか否かに関わらず、 その新機軸・ルールに従った業務フローを再構築せざるをえないと考えています。個人的には非常に悩ましく・厄介ではありますが、実効性のある電子政府実現にあって、税務行政単独で存在するものでもなく、全体的整合性・最適化の中に存在する以上、やもうえないと覚悟していました。 しかし、新機軸が一方で「国民の利便性」を御旗にするならば、ほんとにそうなのか検証する責務を専門士業は担わなければならないとも考えます。
いま求められている(と私が思っている)「より早く・より安く・より高い顧客満足」の実現は、ネット環境なくしては不可能と思います。 しかし、論理武装もないまま、やれセキュリティだの、やれリスクだのと盲目的に不安をつのらしても無意味ですし、全体を鳥瞰しないままの猛進ではE-JAPA戦略にいう「日本再生の秘策」も血税を大量投与した箱物行政の変化形に終わってしまいます。
ネット環境・デジタル化のどこが危険で、何をどうすれば回避できるか、回避できる手段をどのように扱えば脆弱性を補強できるのか、冷静な目とネット社会におけるリテラシーが税の専門化としての税理士にて求められると感じています。 電子申告を鳥瞰して、一部を除いてなんら目新しいこともないし、長年かかって効率化に磨きをかけて事務所の事務フローを捨ててまで選択したくなるようなシステムとも思えません。
 電子申告もネット環境を前提に開発さているのは当然のことです。よって、電子申告には、危険極まりないネット環境・デジタル化を、安心して非対面で相手を確認し・秘匿性を保持する仕組みが組み込まれています。 その仕組みが 電子署名・電子証明書と表現される公開鍵基盤(PKI)なのです。 この公開鍵基盤(PKI)なくしては安全な電子商取引は成立しないし、この公開鍵基盤(PKI)こそ新しい市場を開拓し・新しいビジネス誕生のトリガーとなる「日本再生」の救世主なのだと確信しています。 もし、電子申告をやってなにか得があるとすれば、この公開鍵基盤(PKI)スキルが身につく・スキルが身につかないまでもその大切さを感じ取れることでしょう。 どちらかというと電子申告の操作など末節なことで、電子申告を介して、いままで未体験の公開鍵基盤(PKI)を顧問先とともに如何に関われるかが、我々にとっては重要なことなのです。 
 ただ 単に電子申告の数を増やす目的で「税理士関与の納税者は電子署名不要」を可とするならば、本末転倒・実効性のある電子政府構築の阻害・世界一のIT国家などほど遠くなりはしないか懸念するところです。
わたしは単なる理想主義者ではありません。理想と現実の乖離を絶対拒絶するものでもありません。受け入れざるを得ない現実と曲げてはいけない理想の境目があることも知っていますし、「あるべき姿」への継続的改善の必要性も知っています。電子申告も電子政府もともに、世界レベルから比較すると発展途上国と言わざるをえません。今後府省は横断的に顧客としての国民満足度を高めるように電子申請全般を改善されていくと思われますが、まだ仕掛品の状態です。したがって、長年かかって効率化に磨きをかけてきた事務所の業務フロー全てを廃棄する必要はないと思います。 あくまで、顧客満足・事務所内満足の視点と自らの戦略に基づいて、新「業務フロー」を構築すればよいのであって、ベンダーから高額な電子申告対応セットを購入し、準備完了とはいかないのです。
「電子申告」の目指すものは、そんな低レベルのものではないと信じております。
私の中では「電子申告が日本を救う!」、そんな使命が電子申告に課せられていると信じています。

3-パソコンを過信せず、専門家としてアナログ視線で検証を

  電子申告における「控え」の件ですが、単に「控え」には法的根拠が無いことを理由に、「受信通知」をもって「控え」を実現したという課税庁の説明を鵜呑みすべきではないと以前から言い続けてきました。(平成19年度税制改正平成20年1月4日より電子申告等証明制度の創設として、電子申告の「控え」が実現)
慣習としての法があり、それがうまく機能し、現実の世界で欠くべからざるものとして存在してきたのであるならば、書面における「控え」もシステムに具現化しなければならない「開発項目」です。 技術的はそれほど困難ではないはずです。  現実、書面での「控え」は第三者への証明機能をしっかりと担ってきた。 「受信通知」をもって「控え」を実現とすることは、「国民の利便性」実現の上で是認はではない。利用者側が与えてきたに過ぎない「証明機能」といえ、それを求める多くの声で、電子申告等証明制度の創設として、電子申告の「控え」が実現したと評価されるべきである。(ただし、現状まだまだ不満、実際の電子申告等証明制度は多くの改善点はありますが)
今回の電子政府構築にあっては、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律を通則法的に機能させ、「読み替え」・「置き換え」で、税法に限らず個別法を一切改正せず行った。
電子申告の「控え」の問題が解決したとしても、当該電子申請の本格稼動がまだなので明言できないが、単に「読み替え」・「置き換え」だけでは、「電子の手続き」=「紙の手続き」とは説明しきれない事案が今後多数でてくるでしょう。
十把一絡げ式に電子政府構築の為の法的環境整備をするのではなく、個別法を丹念に検証し、当面のネット社会に即応した法の改正・改変・廃棄をしなければならないと思います。
プログラムを診るというのではなく、プログラムをプログラマー任せ・出来上がったアプリケーションを所与とするのではなく、 そのアプリケーションが、ほんとに当該法律が予定している効果を実現しているのか検証しなければならないということです(これは行政側自身の課題であり・我々自身の課題です)。 「これはパソコンの話だから、君らうまく処理してね」ではなく、アプリケーションといえども法に関わるものである以上、一度は直に関わらざるをえないと思います。
電子申告と「どのような信念」を持って関わるかは税理士制度にとっても極めて重要なことです。 何が何でも電子申告は「数」というのでは時代を見間違えます。まずは顧問先のIT化支援が先に来るべきと考えます。電子申告を顧問先IT化支援のトリガーと位置づけるのも、電子申告を顧問先IT化支援の成果と位置づけるのも、それぞれ個々の税理士の戦略ではありませんか。

VOB4 (2008/02/15) XBRL

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XBRLとは 
XBRL(eXtensible Business Reporting Language)とは、企業の財務情報を表示するために標準化されたコンピュータ言語の一つです。XBRLによって記述された財務諸表は、ツールを使えばワンクリックで日本語から英語やフランス語等に変換することが可能になります。
 また、数年間のデータの比較も容易に行うことができるのです。貸借対照表や損益計算書、キャッシュ・フロー計算書といった財務諸表に記されている財務情報は、株式を購入しようとする投資家への情報開示だけに限らず、融資先や取引先の信用情報、グループ会社の業績評価等、多くの利害関係者に今までより多くの情報を伝達することが可能になりました。
また、様々なツールを使ってデータの二次利用をすることができるようになり、今までのように投資家がデータを再入力してデータの加工や分析をするという手間を大幅に節約することができるようになります。
XBRL ではHTML(Hyper Text Markup Language)やCSV(Comma Separated Values)では、伝達できなかった項目まで情報を盛り込むことができるようになり、また、各国語での勘定科目の割付等も包含されているので、先に述べたようなワンクリックで英語版の財務諸表が日本語版に変換して見ることができるようになったのです。
日本の中小企業が融資を受ける場合には、地元の銀行や信用金庫といった金融機関から融資を受けることが一般的でした。しかし、XBRLによる財務諸表は、各国語に変換することが可能なために融資を受ける金融機関は全世界に広がる可能性が出てくるのです。

公的機関での採用
企業の財務上の公表に関わってきた金融庁は、会社情報の正確性、公平性を高め、投資者の利便性を向上の観点からXBRLの採用を進めており、上場企業などが有価証券報告書等の財務報告を提出するWebサイト「EDINET」で平成20年4月から、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書をこれまでのHTMLによる提出に変えてXBRLによる報告を義務付けました。
また、東京証券取引所は、タイムリーな情報提供という観点から同様に、平成18年よりTDnetのリプレースに合せてXBRLを本格導入しています。
このほかにも、日本銀行や国税庁の電子申告システムのe-Taxの一部でもXBRLが採用されています。このようにXBRLは、現在幅広く使われるようになってきており、今後はより使いやすく且つ、有益な情報を提供できるように改良されていく予定です。

もう一つの領域
元々XBRLは企業の公表財務諸表の開示の標準化から始まったもので、企業の財務データを外部公表することに主眼が置かれていました。
しかし、現在では企業の取引全般を表示する総勘定元帳等、企業内の財務情報の標準化にも適用されています。これはXBRL GL(General Ledger:総勘定元帳)と呼ばれ、取引仕訳、勘定科目等企業内部の会計データを異なるシステムや会計ソフトで取り込みや吐き出しを可能にするための共通の仕様です。
これによって、様々な会計ソフトで作成したデータはXBRL GLに対応するソフト間での自由な取り込みや吐き出しが可能になり、また、データの二次利用も容易に行えるようになります。
また、監査法人や公認会計士の監査も元帳から個々の伝票に遡って監査することも可能になります。中小企業においても同様に、日々の取引を税理士がチェックする場合にも監査と同様に効率的且つ正確に行えるようになり財務諸表の信頼性を高めることができます。
財務諸表の信頼性が担保されれば、中小企業が融資を海外の銀行から受けるということも決して難しいことではなくなります。XBRLにより言葉の壁が取り除かれ、財務情報の信頼性が確保されれば市場は大きく変わることになります。XBRLの進化は大きな光明をもたらすきっかけになるかも知れません。

この文書は「個人情報を守る 税理士事務所の情報管理」ぎょうせい刊 第2版の折り込みです。(版権は株式会社ぎょうせいにあります)

編著者名:阿部隆幸、斉藤總明、中臣豊、谷口誠/共著 日本税理士会連合会/編集
発行年月:2006年6月30日 

 

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「補遺 安全管理実践ガイドへ」

第3編は、誰でも、高額な費用や専門知識を要することなく、すぐに導入できる安全管理ツールの紹介です。安全管理とは本編にあるようにデータのバックアップと広義のアクセス管理です。アクセス管理とは、権限のある者のみが、その情報にアクセスできるような措置をいいます。このアクセス管理がなされていれば、たとえ意図しない相手に情報が渡ってもこれを見ることはできません。これらには認証と暗号技術が使われます。これらの技術は日進月歩です。
第3編執筆後(2006年6月)、アメリカで高い評価を得ていたGrooveというソフトウエアの日本語版が発表され、ベータ版の提供が始まりました。このGrooveは、web技術を使った共同作業のためのソフトウエアです。作業はワークスペースと呼ばれるエリアで行われ、すべて暗号化されています。また、このエリアへのアクセス管理は、管理者からの「招待」という分かり易い方法で行われます。これを使えば何ら意識せず、暗号化、アクセス管理という機能を使うことができます。執筆者グループでは、Grooveを実務に使えばより簡単に安全管理が実現でき、利便性も向上するのではないかと考え、業務ソフトメーカー社員等とともに研究会を重ねてきました。結果は満足のいくものでした。Grooveは現在、日本でもOffice Groove2007として発売され高度な機能を持つツールが、身近なものになってきました。
また一方では個人情報保護法をめぐる「誤解」も引き続き存在しています。この一年間の個人情報保護法をめぐる動向や身近になった新たなツールの動向を「補遺」とし、本編理解の一助となれば幸いです。

個人情報保護法、この1年

 個人情報保護法の間違った理解

法律が施行され二年ですが、未だに誤解があるようです。その一つが、安全管理義務が課せられる個人情報取扱事業者の範囲に関するもので「五千件」なければ関係ないというものです。もう一つが法律の主旨で、この法律は「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護」(第1条)することを目的としているのであり、個人情報の利用や収集を禁止しているものではありません。第三者提供に関しても同様です。
一番目の「五千件」ですが、これは顧客数や会員数ではなく、業務で使う個人データの数であり、受託加工中のものも含みます。税理士事務所でいえば、年末調整ソフトから出力したもの等はすべて件数に入ります。さらに、年末調整や給与計算に関しては「雇用管理に関する個人情報」として厚生労働省の告示があり、これらも知っておく必要があります。税理士事務所も、この法律と無関係ではいられないということです。
第二の誤解は法律の目的に関するもので、個人情報保護法がプライバシー保護一般と同一視されていることです。これについては「間違いだらけの個人情報保護法」(インプレス=牧野二郎)をご参照下さい。個人情報保護法の下で必要な情報の提供まで、ためらう過剰反応(名簿の作成などが代表例)について、国民生活審議会個人情報部会では、法改正も検討されましたが「規定が浸透していない」ことによる問題とし、政府に法が正しく理解されるよう徹底する提言をまとめました(朝日新聞2007年6月11日)。

 情報漏えいはインターネットという誤解――事故の実態はどうなっているか

顧客情報、個人情報の漏えいというと、報道されるウィニーによる事件を思い出される方も多いと思われます。しかし、事故件数からみると郵便物の誤封入やFAXの誤送信などによる情報漏えい事故が大多数です。個人情報漏えい事故はウィニーやインターネットだけではありません。
次表は財団法人日本情報処理開発協会(JIPDEC)のプライバシーマーク事務局が「平成17年度の個人情報の取扱いにおける事故報告にみる傾向と注意点」と題する報告書において事故報告があったものをまとめたものです。

 
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事件として報道される情報漏えいはインターネットによるものが多いのですが、ここで明らかなように、事故原因の最大のものが「誤配送等」であり、具体的には誤配送、誤封入、誤送付、印刷ミス等です。カバンやパソコンを持ち歩けば、紛失や盗難の可能性もあり、盗難によるものも15.2%となっています。これらは、言うまでもなくインターネットとは関係がありません。
件数はたとえ一件であっても、税理士が扱う信用情報、センシティヴ情報であれば二次被害等の影響も考えられ、信用失墜、場合によっては損害賠償という事態さえ考えられます。

アクセス管理・暗号化で電子は紙より安全

漏えいの大半は、些細なミスが原因です。どれだけ注意しても、間違いは起きる可能性があります。しかし、間違って送信(送付)しても相手が読めないとしたらどうでしょう。書類を盗まれたとしても取得した者が、内容が読めないとしたらどうでしょう。こんなことは書類では不可能ですが、電子データではこのような措置が簡単です。
このように、正当な権限がある者だけが、その情報を見ることができるようにする措置を広い意味でアクセス管理と呼ぶことができます。アクセス管理というと難しそうですが、鍵付きの書庫に書類を入れておけば、それは鍵を持っている者だけがそれを見ることができます。この権限の委譲は鍵を渡すことで簡単にできます。これがアクセス管理です。このような管理がなされていれば、ミスがあったとしても情報漏えいは防ぐことができます。電子化された情報はアクセス管理が簡単です。電子申告を例に出すまでもなく、業務の多くがますます電子化する一方で、電子データやパソコン、インターネットへの不安の声も聞きます。しかし、適切なアクセス管理がなされていれば電子の方が安全です。
電子化の優位性は暗号化にもあります。暗号化された電子データは正当な権限(鍵)を持つ人しか読むことができません。これも一種のアクセス管理です。電子データは、暗号化が簡単です。税理士の業務での顧問先との資料の収受、申告データの受渡しなどの日常的な業務も電子化できれば、暗号技術を使ったアクセス管理が可能となります。

 

VOB2_02.JPG電子文書が増え、電子化は進む

パソコン一人一台は当たり前であり、ほとんどがインターネットに接続されています。どこの企業でも書類は電子データに席を譲りつつあります。源泉徴収票の電子交付も始まり、仕事の大半が電子文書(電子データ)の取扱いだという時代に入りつつあります。
電子化された情報はコピーが容易であり、一度流出した情報を取り戻すことは事実上できません。しかし、電子情報を安全に取り扱うため技術も身近なものになってきています。むしろ、電子化時代にふさわしい業務のあり方を選択すべきあり、積極的な電子化が業務の効率化だけでなく、安全管理措置につながっていくと言えましょう。
個人情報保護法で大騒ぎしても一時的なものであり、誰も何もやっていないと考え、結局自分も何もやっていないとしたら、それは明らかに違います。できるところから今すぐ始めるべきでしょう。

コラボレーションツールGrooveとは

 Grooveは、コラボレーションのためのツールです。日本語では、共同作業を意味するコラボレーションですが、単に共同作業だけでなくその前提となる意思の疎通やデータの共有、進捗の管理といったことまで可能にするツールがGrooveです。また、Grooveの特筆すべき点は、その安全性にあります。すべての情報が本人が意識せず暗号化され、データ等の安全管理に十分な威力を発揮することは、米軍が採用していることからも知ることができます。
税理士の業務は、顧問先とのコラボレーション抜きには実現不可能です。受託業務の範囲は事務所によってそれぞれ異なりますが、顧問先の作成したデータや資料から、帳簿や決算書、申告書の作成を受託し、それに付随する様々な業務を考えると非常に有効なツールであると言えます。

Grooveの基本的な機能は

Grooveでは、ワークスペースという作業領域がコンピュータ上に作られ、そこにメンバーとなる人を招待して共同作業を行います。メンバーとなった人のコンピュータには、同一のワークスペースの複製が作られ、インターネットに接続する度に自動的に同期が行われます。
オフラインで行ったワークスペース内の作業もインターネットに接続すれば、変更はメンバーのコンピュータに自動的に送信されます。作業のため事務所のネットワークに接続する必要はなく、顧問先、自宅などどこでも作業することができます。

顧問先と事務所とのデータ・情報共有

顧問先がGrooveを使って会計データを入力すれば瞬時に税理士側のパソコンにも反映されます。税理士がチェックしてして修正しても顧問先側のパソコンに反映されます。Grooveではデータが更新された場合にはその日時・更新者が表示されますので、相互に、いつ、誰がデータを更新したかがわかります。
顧問先で、入力データをチェックし、USB等のメディアにデータを格納して持ち帰る場合には、途中での紛失の危険性があります。ネット上でデータのやりとりをすれば、データを盗み見られる危険がありました。また、データを移動すると、どれが最新のデータであるのか判別がつかなくなるといったデータの二重化の問題もあります。しかし、Grooveを使用すればデータの移動がありませんから、紛失の心配もなく、データの暗号化により、盗み見の危険を回避でき、データを共有することで、データの二重化の問題は起きなくなりました。ただし、双方が同時にデータを加工・修正した場合には、「二重化」問題が生じますので、一定のルールを予め決めておくことが必要となります。

事務所内でのデータ・情報共有

事務所内では、データの共有によって業務効率のアップが図られ、進捗管理が容易になり、Groove に用意されているプレゼンス情報、警告及び未読マークの各機能を使用すると、誰がいつ何に対して作業しているかを把握できます。税理士事務所では、調整に要する時間を削減して、作業により多くの時間を割くことが可能になります。
また、ワークスペース内のメンバー権限を「閲覧だけ可能」にしたり、「データの加工を許可」する等、細かく設定することによってメンバーごとの権限設定が可能になります。 

Grooveに用意されているツールの紹介

Grooveの代表的なツールには下記のようなものがあります。
 ファイルツールで共有 ファイルツールにファイル(会計データやワープロ・表計算のデータ等あらゆるものを置くことができる)を置けば、それだけでデータを共有できます。作業対象が限定されてデータが分散することなく、メンバーのどのコンピュータからも作業可能になりデータの二重化が避けられます。また、ネット上から最新データを加工することが可能なので、データ移動による紛失事故はなくなります。また、データは暗号化されており、安全性は高まります。
 
ディスカッションツールで意見交換

このディスカッション機能は、掲示板です。メンバーが発言したことに他のメンバーが答える機能です。メールと違い、テーマ別の意見交換や多人数での意見交換が可能です。また、通常のメールでは誤送信や盗み見といった危険がありましたが、Grooveではワークスペース内のデータを見ることができるのは、メンバーに限られており、第三者に情報が漏れる心配はなくなります。ディスカッションに新たな発言があった場合には、他のメンバーにはそれが容易にわかる仕組みになっています。
顧問先からの相談に対する応答や事務所内の意見交換、進捗管理に使うことができます。

予定表で日程管理

 予定表は、スケジュール管理に使います。事務所ではメンバー全員の予定表をワークスペースに作成すれば誰がいつどこで何の作業を行っているか把握することが可能です。事務所にいなくてもインターネットさえ接続できれば、外部からのアクセスも可能なためタイムリーな変更にも対応可能です。
ワークスペースごとに予定表を作成すればグループの日程管理に使うことができます。ワークスペースに誰を招待するかによって、知らせる必要のある人にだけ自分の予定を公開することもできます。

メッセージツールで暗号メール

 メッセージ機能は、Groove内のメール機能です。掲示板が全員に対する告知であるのに対して、特定のメンバーにのみ告知したい場合に便利な機能です。メッセージは、ディスカッションツールの掲示板の更新よりももっと相手が気づきやすい表示や相手が「開封」したことを知らせる仕組みもあります。意識しなくともメッセージは暗号化されており、ファイル添付も可能です。

 

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